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<!--Generated by Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/) on Sun, 19 Feb 2012 14:41:29 GMT--><feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"><title>WEDNESDAY</title><subtitle>WEDNESDAY</subtitle><id>http://www.creative-platform.com/wednesday/</id><link rel="alternate" type="application/xhtml+xml" href="http://www.creative-platform.com/wednesday/"/><link rel="self" type="application/atom+xml" href="http://www.creative-platform.com/wednesday/atom.xml"/><generator uri="http://www.squarespace.com/" version="Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/)">Squarespace</generator><entry><title>WEDNESDAY</title><id>http://www.creative-platform.com/wednesday/2007/11/13/wednesday.html</id><link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.creative-platform.com/wednesday/2007/11/13/wednesday.html"/><author><name>佐藤寛孝</name></author><published>2007-11-13T22:23:49Z</published><updated>2007-11-13T22:23:49Z</updated><content type="html" xml:lang="ja-JP"><![CDATA[<p>郵便受けには一通の封筒が届いていた。<br /><br />母が言っていたとおり<br />宛て先には私の名前がかかれていた。<br />生まれて初めて<br />郵便受けが<br />私宛に届けたくれたおくりもの。<br /><br />その瞬間、<br />母が消えてしまって以来、<br />鼓動することを諦めてしまっていたかのように<br />ずっと静かだった私の心臓が<br />思いっきり握られるのを感じた。<br /><br />それは、あの懐かしい<br />美しかった母の手のぬくもりだった。<br /><br />もしかしたら、<br />無論、これはあくまでも人のいい私の<br />超善意的な解釈での話しだけど、<br />その日の<br />あの「ドキッ」という音と共に<br />私の心が止まった瞬間こそが、<br />母が私に残してくれた<br />ひまわりの種だったのかもしれない。<br /><br />だって、本物のひまわりの種のかわりに<br />その封筒の中に入っていたのは、<br />短い手紙と、<br />味気ない数枚の書類だけだったのだから。<br /><br />それは難しい漢字ばかりでうめられていて<br />到底子供の読める代物ではなかった。<br />私が叔母の方を見詰めて助けを求めると、<br />うつむいて苦笑いしている叔母の代わりに、<br />叔母の隣に座っていた山田さんが説明してくれた。<br /><br />山田さんは叔母の古い友人で、<br />仕事が忙しく<br />ドメスティクな仕事を嫌悪していた叔母のかわりに、<br />家事全般を世話してくれていた家政婦さんだった。<br />母が死んで私が初めて叔母の家にやってきた時、<br />山田さんはものすごく強烈な抱擁で私を迎えてくれた。<br /><br />山田さんという女性は心に独特の熱さを持った人だった。<br />毎日、私が郵便受けに母からの贈り物を覗きに行って<br />何にも入っていないその箱の中に<br />少しずつ心の一部を置いてくると、<br />山田さんは何も言わずに私を抱きしめてくれた。<br /><br />彼女の腕や胸は太陽のように熱かったから、<br />私の小さな体が<br />息が出来なくなるほど<br />力強く抱擁される度に、<br />私の心はそのまま山田さんの腕の中で<br />とけてなくなってしまえればと真剣に願った。<br /><br />私宛に届いた書類に目を通す叔母の前にはアイスコーヒーが、<br />その叔母を見詰める私の前にはカルピスが、<br />山田さんの太陽で氷がとけて薄くなって所在なさげに、<br />暗い私たちの気分を冷たく盛り上げていた。<br /><br />それから<br />叔母は大げさなため息を一つついて<br />テーブルの上のグラスを見つめた。<br />それは叔母が現実という暗くてだだっ広い戦線から<br />一人離脱することを私たちに明らかにする時の<br />いつもの合図のようなものだった。<br /><br />うつむいて苦笑いしている叔母。<br /><br />初めて叔母の家にやってきた日以来<br />山田さんが私を抱きしめる度に、<br />苦笑いの叔母はその時と同じように<br />ただ何を見るともなく下を向いていた。<br /><br />私はといえば、薄くなったアイスコーヒーが<br />水溜りになって彼女の心を覆っていくのを見詰めている。<br />やがてその広がりが私の心にも届きそうになると<br />山田さんが口を開いた。<br /><br />手紙と書類に書かれていたこと。<br />それは、私が、<br />母の母、つまり私の祖母との間に存在する<br />法的な関係全てを放棄することに<br />同意するということだった。 <br /><br />私が待ち続けて贈り物を送ってきたのは<br />母ではなかった。<br />封筒の裏、<br />送り主を書き込む欄には、<br />ひらがな三文字の祖母の名が書かれたいた。<br /><br />その日、山田さんは誰よりも先に泣いていた。<br /></p>
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