和の伝道者その4
土曜日, 3月 3, 2007 at 11:31午前 日本ヒューレット・パッカード(hp)の新井啓之本部長が自信を持って語るその背後には、京都醍醐寺「五大尊像」の高精細複製画5点が掛けられていた。
原画は年間で40日のみ一般拝観される。年間で数える程度の人だけが目にできる計算だ。
日本文化は「紙の文化」。現存する文化財の多くが紙や木で出来ている。作品を守るには、光や温度などを調節しなければならない。自ずと一般拝観は難しくなる。それでもいつかは朽ちてしまう作品たち。
これらを後世に残し、子供たちにも気軽に国宝作品を見せたい。 京都国際文化交流財団の「デジタルアーカイブ事業」の始まりはそこにあった。これに新井氏が誇るhpのテクノロジーが賛同した。
hpの高精細複製技術が可能にしたのは、和紙の上に印刷されただけの「ただのコピー」ではない。
「黒い目の人に青い目の人。誰が見ても原画と同じように見える」。原画の色素を専門の機会で分析してインクの配合をした。世界へ日本の文化を発信することを意識した。
そもそもhpのデジタルファインアート技術者はバルセロナやサンディエゴにいる。これまで西洋画の複製で大きな評価を受けてきた彼らに新井氏は、「日本画では黒色でも、黒墨と赤墨で違いがある」と説明するなど、独特の苦労が絶えなかった。
「それでもやはり彼らも職人ですね」と新井氏は振り返る。試作品はお寺で本物と見比べられた。妥協は許されない。それでも眼の色の異なる職人たちの実力は京都の職人をも納得させた。
本来営業マンの新井氏が、プリンターの売り上げに直結するわけではないプロジェクトにのめり込んだのは、外資系のhpで、インクジェット技術で、我々にもできると証明したかったからだ。
本物を知ってもらうために、最高の複製画を作らなければならない。それができるのはインクジェット。「これで世界に届けたい」。
佐藤寛孝 |
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