土曜日
1262008

矢野顕子×ロールモデル

矢野顕子が現在もっとも音楽に没頭できる場所、
それがプライベートスタジオ・パンプキン。
マンハッタンの喧騒を離れた小さな田舎町の
優しさの香る「秘密基地」で、
デビュー30周年を迎えたアッコちゃんの世界を紡ぎました。

こっちからの続きです。



矢野顕子×ロールモデル


矢野顕子が腕によりをかけてもてなすご馳走の数々。
オリジナルもアレンジ(カバー)だって、
全てが矢野顕子の世界となって広がっていく。
だからどの曲が彼女のオリジナルなのかなんて
つまらない考えはアンドロメダの彼方に吹っ飛んでしまう。
そういうパワーに満ちた楽曲で溢れている。

「小田(和正)さんが以前私におっしゃったんだけど、
私の人の曲を歌っているポイントというのは、
曲の中に一つでもいいところを見つけて
そこをめいいっぱい拡大して歌っているところだって」。

だから気がついたときにはみんな
ちゃんと矢野顕子の味付けになっているというわけだ。

ならばと、ここに来て
彼女がデビュー以来歌ってきた楽曲を聴き直し、
過去のインタビュー記事もありったけ読み直してみようじゃないか
なんていうことになっちゃうわけです。
だってあれですよ、
「気がついたら子供たちが独立していて、私もデビュー 30 年」
なんてさらっと振り返っちゃう矢野顕子のこれまで、
そこからどんな情景が覗けるのか気になるじゃないですか。

レコード、 CD 、ライブ映像、インタビュー記事。
で、その結果ですけどね。
埋もれてしまうほどの山のような資料を整理していくと
一つひとつが足跡となって
一本のぶれないトレースを残している事実が見えてきました
なんていうのはどうでしょう矢野さん?

「人間としての私が音楽をやっているわけで、
そこを見てもらうしかないし、それ以外はできないのよ」

物凄く難しいことをまたしてもさらっと言えてしまう。
この広い銀河にどれだけの「異星人」が存在するのか
なんて難しいことは知ったことではないですが、
言っていることと歌っていることおまけにやっていることまでが、
まったくぶれていないミュージシャンが
いやそんな人間がどれだけ居るかと聞かれたら、
僕にはちょっとおもいつきません。

「アレンジする曲一つをとってもね、
私の場合どんな曲でも歌えるわけじゃないの。
まず私の歌える言葉だろうか?
そこから見極めなきゃならないんです」

矢野さんってデビュー以来、汚い言葉や
挑発的な表現をリリックにしてセンセーショナルを煽ったり、
消極的な曲を歌ったりすることが一度たりとてないって
みなさん知ってました?

「矢野の全部はお勧めできません」と本人ははにかみつつも、
英語のROLE MODELと言う責任を持った
そんなミュージシャンに私は成りたいと」おっしゃる矢野さんは
宮沢賢治のごとく自分にとっても厳しいわけです。

だからこそ歌いたいと思える曲に出会えた時
その喜びはひとしおなんですよね?

「目玉焼きを作ろうとした時に卵を割ったら
黄身が二つ入っていて『やったー』という感じ。
あれに似ているかな…もうこれは本当に稀ですよ」

ミュージシャンとしても人としても無責任じゃいられないし、
社会と繋がっていることを人一倍大切にしているのが
素の矢野顕子であるようです。

(敬称略)

つづく