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<!--Generated by Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/) on Sun, 19 Feb 2012 14:38:34 GMT--><rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" xmlns:rss="http://purl.org/rss/1.0/" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/" xmlns:admin="http://webns.net/mvcb/" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:cc="http://web.resource.org/cc/"><rss:channel rdf:about="http://www.creative-platform.com/foulball/"><rss:title>ファウル・ボール</rss:title><rss:link>http://www.creative-platform.com/foulball/</rss:link><rss:description></rss:description><dc:language>ja-JP</dc:language><dc:date>2012-02-19T14:38:34Z</dc:date><admin:generatorAgent rdf:resource="http://www.squarespace.com/">Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/)</admin:generatorAgent><rss:items><rdf:Seq><rdf:li 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/>一打出ると一気に逆転という場面だった。<br /><br />ここまで、彼はチーム打率で<br />二割近く離された強打線を相手に、<br />打たれはしても大量失点にはつながらない、<br />ようしょ、ようしょを締めるピッチングをしてきた。<br />そんなゲーム展開をみて、<br />少なくとも一時は<br />下馬評をひっくり返すなんて<br />こともありえるかもしれないと<br />報道関係者席の幾人かは考えたことだろう。<br /><br />なによりも、今日のエースの調子は、<br />疲れが残るわりには決して悪くなかった。<br />最高で133キロのストレートと<br />調子が良いときに落ち気味に決まる<br />切れ味のいいスライダーを含めた数種の変化球を<br />丁寧にコースへ投げ分ける普段以上の出来。<br />いわゆる「技巧派ピッチャー」と関係者に評される<br />彼の本領発揮といった試合内容だっただろう。<br /><br />奪われた三点にしても、<br />エースにとっては想定内の数字だった。<br />二日前に、監督から<br />相手チームの試合テープを見せられた時は、<br />正直もっと取られただろうと考えていたくらいだ。<br /><br />三回戦、今日の相手は関西No1の名門校。<br />開会式の後に、<br />ナインとふざけて携帯のカメラで撮った<br />記念写真のなかの優勝旗には、<br />きっと同校の名前が書かれたゼッケンが<br />いくつもぶら下がっているのだろう。<br /><br />エースの1.5倍近くの体格はあるだろう<br />相手チームの四番バッターは<br />今大会もっとも注目を集めているドラフト候補で、<br />彼のコメントはエースのそれの３倍近い紙面を<br />割かれてスポーツ紙に掲載されてきた。<br />しかしエースにしたら、<br />これだって対戦に燃える要素にはなっても、<br />ビビルことはなかった。<br /><br />だいたいである、と彼は思う。<br />「一つひとつ着実に勝ちたいです」とか<br />「精一杯振りぬきました」など、<br />これで本当に関西人かと疑いたくなるほど、<br />どれもこれも四番バッターのコメントは<br />平凡極まりないじゃないか。<br /><br />「俺のコメントほうが風刺が効いていて面白いし、<br />記事にだってしやすいはずなのに」と<br />彼はロードワークの途中で新聞を広げるたびに、<br />紙面上での扱いも超ド級の<br />四番バッターの存在が癪に障った。<br /><br />しかしこの日、エースはこの四番バッターを<br />三打数無安打と完全に抑えてみせていた。<br />無論、日ごろから片思い的に抱いていた恨み辛みが<br />一球一球に込められていたことは言うまでもない。<br />ところが、四番バッターを完全に押さえ込んだ後にも続く<br />超攻撃的な下位打線にはしっかり打たれてしまって、三失点。<br /><br />それでも、ここまで甲子園での打率が四割を超え、<br />十数年ぶりの単独大会ホームラン記録更新も夢ではないぞと<br />囁かれるほどの調子で本塁打を量産し続けて、<br />さらにスカウトの目を輝かせながら<br />目下高校野球界の日溜りを驀進し続ける球児を、 <br />エースには自分の二流の球威と一流の自負がある投球術で<br />きりきり舞いにできているだけで大きな満足感があった。<br /><br />しかし、試合も終盤、八回九回に入ると<br />それまで調子によかったエースの投球も<br />急ブレーキをかけたように苦しくなってきていた。<br />異変は八回の表のピッチングのときに起きたのだ。<br /><br />その回、一人目を討ち取ったあとに、<br />マウンドから一度降りようとして一歩踏み出したら、 <br />彼は一瞬めまいに襲われた。<br />その時は周囲に気づかれまいとして<br />適当に誤魔化すたその場にしゃがみこみ、<br />解けてもいない靴ヒモを結びなおすふりをしたのだが、<br />どうやらこちらの小さな異変に<br />気がついたらしい相手チームの有名監督は、<br />ファウルで粘ってエースの投球数を稼ぐ作戦に変えてきた。<br /><br />さすがに、高校野球の監督のくせに<br />本を出版してしまうほどの<br />百戦錬磨の名コーチは違うなと<br />エースが強がって見せても苦しい状況は好転しない。<br />おかげで、八回だけで投げた数は三十四球に上ってしまった。<br /><br />相手チームの作戦が面白いように効果を出して、<br />九回にマウンド上がった時、<br />一度めまいを起こした体は<br />取り入れたばかりの水分を<br />すぐに蒸発させてしまったようで、<br />腕はパンパン、<br />球が手から離れるよりもワンテンポ手前で<br />力を込められなくなっていた。<br />球威よりもコントロールで打ち取るエースにとって<br />これは死活問題にだった。<br /><br />九回に入っても相手チームの連続ファウル作戦は続き、<br />球威が落ちた上に、<br />細かいコントロールが利かなくなった彼のボールは<br />思うようなコースに決まらず、<br />粘られた末に二人も歩かせてしまっていた。<br /><br />相手チームの監督には明らかな彼の変調も、<br />素人に毛が生えた程度の味方チームの監督には<br />気づいてもらうことすらないようで、<br />ブルペンの控え投手が<br />あわてて肩を作り始めるといった様子は<br />いまだに見られない。<br /><br />まぁ、代えようにも、こんな場面で<br />今日四度目の打席に立つ<br />高校界No1スラッガーを相手にできる控え投手が<br />自分のチームに要るわけがないだろうとも、彼は知っていた。<br /><br />「いや、きっと日本中どこを探してもそんな控え投手がいるわけがないか&hellip;」<br /><br />「さしずめ俺は傷だらけのエースってところかな・・・」<br /><br />四番バッター相手に最初に投じた<br />角度のある速球に近いスライダーが、<br />左バッターである彼の外角やや低めに入ると、<br />瞬時にグリップを握る手をほんの少し緩め、<br />明らかにフルスイングではないが<br />巧みに振られたバットに当たったボールは<br />緩く揚がって三塁側へのファウルフライになった。<br /><br />「お前もかよ」<br /><br />少なくとも、今日の試合では<br />もっとも力を入れて勝負してきた相手に、<br />くだらない作戦のために<br />フルスイングすらもしてもらえず、<br />多少は通じ合っていると思っていた心を<br />あっさりとざされた気分になったエースは<br />そう心の中で叫んでいた。<br /><br />そんな彼の想いをのせて<br />高くあがったフライを追ったキャッチャーが<br />目測を誤り相手チームのベンチへ、<br />低いフェンスにこけて頭から突っ込んでしまった。<br /><br />ここで試合は一時中断され、<br />気がつくと本日まだ三試合目ながら<br />ナイター用の照明に火が灯されたのだ。<br /><br /><a href="http://www.creative-platform.com/pinball/">（続く）</a></p>
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