金曜日
0372009
May
金曜日, 7月 3, 2009 at 10:24午前 私は本当に弱い人間だから
自分にもひとにも
失敗なんか怖がらないで前に進めばとは
どうしてもいえない。
辛いことがあれば身をかがめるし、
震えながらその苦しみが通り過ぎるのをただ耐えて待つだけ。
子供の頃からたくさんの大切な人が私の前から去るたびに
見つめていたら、飛び出したら、
傷が心まで達してしまいそうなほど
とげとげしい現実に遭遇するたびに
私はただガタガタと震えていた。
明日はきっといいことがあるって信じて?
いや、そう願っていただけ。
だからこそ、私やあの施設のこたちはみんな
本質的に知っていたのだと思う。
人の豊かさって、
その人が体験した苦しみや悲しみと
その人が味わった喜びや幸せの、落差のことだって。
「あなた幸せ?」って質問されることがあっても
「あなたは豊か?」って訊ねられることはないでしょ。
でも、鏡の中、他でもなく私の瞳が
そう訊ねてくる。
危険を極力排除した人生は、安定しているけど、
豊かさをうしなってしまう。
豊かさは人生の起伏に対して認識できるものだから。
毎日ご馳走を食べても、毎晩大好きな人の腕の中で眠っても
それはもちろん幸せだけど、
その大切さありがたさを認識できなくなっちゃう。
だってハッピーなんだから。
人は飢えを知って食べ物のありがたさを知るでしょ。
その落差を豊かさというのであって、
ミシェランの星の数は残念ながら本質的な豊かさではない。
「豊かな人生を歩むには
ある程度の危険も覚悟しなければならないのよ」なんて
もちろん母はいわなかった。
なんでもかんでも母が教えてくれたわけじゃない。
母が死んで、一人で気づいたことのほうが、今はもう多くなってしまった。
今はそれが一番悲しい。
佐藤寛孝 |
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