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金曜日
8172007

食べるアート

ここ数週間仕事で、「キャラ弁」なる現代日本文化を追いかけて都内を走り回っている。普通の家庭で母親が子供のために作るキティちゃんやポケモンの形をしたお弁当を求めて、お母様方に取材してお弁当を見せてもらいそれぞれのキャラ弁に対する熱い思いを語ってもらうのだが、この「キャラ弁」ってのがなんだかとにかくすごいブームになってるのだ。

アマチュアとは思えないほどの腕を持つドメスティックフードアーティストのお母様方が実は日本中に数多くいることを、ご存知だろうか。キャラ弁の本を出しているプロのキャラ弁作家もいるにはいるが、こうした普通のお母様方は、作り方の本なんか見ないで、作りたいと思うキャラを選んだら、はんぺん、のり、かまぼこ、卵焼き、かにかまなど、どこでも普通に買える食材でものすごいアートを造り上げちゃうのだ。お見せできないけれど、彼女らはキティーちゃんやポケモン、ドラえもんなんてキャラはもちろん、ジャンプコミックスのキャラ、ハリーポッター、大奥、しまいにはらーめんず(!)までキャラ弁にしてしまう。それがまた、びっくりするくらい本物によく似てるのだ。もちろん立体だから平面のようにきれいには収まらないけれど、個人差があるとはいえそのヴィジュアル的完成度には目を見張るものがある。今女の子に大人気のプリキュアを作るのなんてもの凄い複雑な作業で、アニメ特有のあのさらさらギザギザの髪の毛をピンクのかまぼこからフリーハンドで切り取ったり、白いかまぼこを直径一ミリくらいのまるに切り取って目の上にのせて、あの「きらきら」感をだしたりしている。まつげはもちろん海苔。1ミリほどに薄く細かく切ったものを一本一本ピンセットで丁寧にはりつけていく。実際に作っている様子を見たことがなくても、出来上がった写真を見るだけで「これ食べれるの?」「本当にかまぼこで出来てるの!?」 そんな声があちこちから聞こえてきそうだ。

出来上がったお弁当をどうするかと言えば、「子供がすぐ食べちゃいます」「幼稚園に着くまでには中身はぐちゃぐちゃですよ」「自分のお昼用です」なんて、皆様ずいぶんとばっさりとした扱いをみせているから驚きだ。そんな、3時間もかけて作ったお弁当をよくよく眺めて展示もせずにすぐ食べちゃうなんて!なんもわからない4歳児に食べさせちゃうなんて!といいたいところだが、本人たちはあくまでも作るのが楽しくて趣味としているわけで、それを勿体ぶって見せびらかしたり飾ったりなんてめっそうもないらしい。子供が食べてしまったあとに残るのは、それぞれのブログに載せた写真と、ほかのキャラ弁仲間たちからの数多くの絶賛・励ましのコメントのみ。「キャラ弁の作り方」といった本を出して商売にしているフードアーティストとは全く違う彼女らの一番の喜びは、子供の嬉しそうな笑顔、そして子供が幼稚園で友達を作って毎日楽しく通ってくれること、だそうだ。

それはまさに、どんな高級レストランに行っても絶対に食べることのできない、日本が世界に誇れる極上のフードアート。

真心と栄養のたっぷり詰まったキャラ弁を日々せっせと作っておられる日本中のアーティストたちに、そして特に今回取材に応じていただいているお母様方たちに、この場をかりて深い敬意と感謝を表したい。

My Neighbor Sapporo

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