<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!--Generated by Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/) on Sat, 18 Feb 2012 02:30:06 GMT--><rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" xmlns:rss="http://purl.org/rss/1.0/" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/" xmlns:admin="http://webns.net/mvcb/" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:cc="http://web.resource.org/cc/"><rss:channel rdf:about="http://www.creative-platform.com/8-ink/"><rss:title>第八回：インクの匂い</rss:title><rss:link>http://www.creative-platform.com/8-ink/</rss:link><rss:description></rss:description><dc:language>ja-JP</dc:language><dc:date>2012-02-18T02:30:06Z</dc:date><admin:generatorAgent rdf:resource="http://www.squarespace.com/">Squarespace Site Server v5.11.81 (http://www.squarespace.com/)</admin:generatorAgent><rss:items><rdf:Seq><rdf:li rdf:resource="http://www.creative-platform.com/8-ink/2007/2/9/907171.html"/></rdf:Seq></rss:items></rss:channel><rss:item rdf:about="http://www.creative-platform.com/8-ink/2007/2/9/907171.html"><rss:title>第八話:インクの匂い</rss:title><rss:link>http://www.creative-platform.com/8-ink/2007/2/9/907171.html</rss:link><dc:creator>遠藤大輔</dc:creator><dc:date>2007-02-09T21:22:10Z</dc:date><dc:subject></dc:subject><content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p><p>幼い頃から新しい印刷物の匂いが好きだった。春のクラス替えにざわつく教室で一人、配られたばかりの新しい教科書の匂いを嗅いではうきうきしていた。大人になった今だって、あたかも魚や野菜の鮮度を確かめるように、雑誌や新書の匂いをかいでしまう。</p><p>グラフィックデザイナーになり、本やパッケージの印刷に立ち会うようになった。マンハッタンのビルの一室で、バタンバタンと大きな音を立てながら２色刷りの印刷機をまわしているところから、ロサンゼルスの工場地帯にある巨大な印刷所まで、色々な印刷所に足をはこんだ。うずたかく積み上げられた刷りたてのポスターや、まだ生乾きの広告、本として閉じられる前のページから漂うインクの匂いに囲まれると、嬉しくて思わず深呼吸してしまう。</p><p>印刷は、デザインの仕事の大切な一部である。アイデアを練り、レイアウトをデザインするだけではデザイナーの仕事は終わらない。思い通りの雰囲気を出すために最適の紙を選び、手触りを考えて表面加工を施す。メッセージをより効果的に伝えるために、最新の印刷技術を活用する。実際、最終的なデザインは印刷所のアドバイスを聞きながら進めてゆくことが多い。良い印刷所は、デザインに最適な印刷技術を提案し、要求以上のクオリティーを達成してデザイナーを良い意味で驚かせてくれるものだ。だから、「印刷はこちらでやりますので」とクライアントに言われると、あたかも腕を一本とられてしまったようで不安になる。</p><p>最終的な印刷の立ち会いは、かなりタフな仕事だ。普段は薄暗いオフィスの片隅でひっそりとモニターを眺めている文科系もやしデザイナーが、 腕回りが自分の太股ほどもある体育会系だいこん工員相手にせめぎあわなければならないのだ。大型バスほどもあろうかという巨大な印刷機の狭間で、騒音に声をかき消されながら必死で要求をぶつけ合う。ここで妥協したらこれまでの努力が全部水の泡になってしまう。嫌な顔をされたぐらいで引き下がっていてはデザイナーの名折れであろう。しかし、そうやって、自分が何ヶ月もかけてデザインしてきたものが大量に刷り上がってくるのを見るのはまさに感無量。我が子の誕生に立ち会うような気分である。</p><p>これまでで最も規模の大きかった印刷は、キャロウェイゴルフとの仕事だった。１０種類以上もあるゴルフボールのパッケージをそれぞれ１０万単位で印刷した。ゴルフボールといっても、その小さなボールの中に沢山の先端技術と工夫が詰まっている。パッケージのデザインは、そうしたボールの高い品質や、キャロウェイのブランドイメージを反映し、表層的な見栄えだけでなく、質感や手触り、そして耐久性も含めて非常に凝ったつくりとなった。印刷には、光沢があり耐摩に優れた紫外線硬化型のインクを使用し、ロゴの部分には特殊なエンボス（浮き出し）加工を施した。望み通りの印刷結果を出すために、印刷所との間で何度もミーティングを持ち、納得の行くまで試し刷りをした。お陰で、クライアントと印刷所の方たちがみまもるなか、試し刷りに最終的なオーケーサインをする瞬間はさすがに緊張で手が震えた。</p><p>そうして印刷されたものが、立ち寄ったスポーツ店にうずたかく積まれているのに出会うと、成長して独り立ちしていった我が子を見るようでとても嬉しくなる。それこそ匂いを嗅ぐどころか、こっそり頬擦りしてしまいたいほどである。<br /></p>
]]></content:encoded></rss:item></rdf:RDF>
